グルメを追求する子連れサラリーマンのブログ

清澄白河在住の美味い物、美味い酒が大好きな子持ち(3人)サラリーマン。基本食べログ3.3以上の店中心に開拓。週末は子連れOKな店や、昼からアラカルトで飲める店を探索。平日はサラリーマンが行ける範囲内(1万円以下)の店を中心に探索。

そろそろカツ丼を食べた時の話をしようか・・。

たまにはグルメを小噺形式でお送り致します。

~始まり~
ワイ「おい、八よ。そろそろ昼時だな、腹ぁ減ったか?」

八「へい。もうペコペコでやんす」

ワイ「そしたらあれだな、トゥンカッツイエでも食いに行くかぇ?」

八「トゥンカッツイエ!?あ、もしかしてトンカツのことッスね。随分贅沢ですね、兄貴」

ワイ「馬鹿!トンカツっつっても何も1,300円もするような上ロース定食なんざ食おうって話じゃないよ」

八「へ?するってーとトンカツ屋で何を食べるんでさぁ?生姜焼きにオマヨでもたんまり付けて食べようって腹ですかい?」

ワイ「ばっきゃろー!揚げる技術が命のトンカツ屋でなんで焼き物食うんだよ!しかもオマヨって何だよ。キャッツ丼よ。キャッツ丼。」

八「キャッツ丼?あ、カツ丼ですね。兄貴、面倒臭いから普通に言って貰えませんかね?」

ワイ「馬鹿!お前さんキャッツも観た事ないのかよ?それでも猫好きか?これだから芸の嗜みもない奴は嫌なんだよ」

八「兄貴、確かにあっしは専ら浅草ロック座と日活ロマンポルノ専門なんで小洒落たミュージカルなんざ観た事は無いですけど、それ以前にトゥンカッツイエとかキャッツ丼とか今日び拗らせたネット民でも言いませんよ」

ワイ「うるせー!ほっとけー・・・・ェキ!(ぽっ」

八「兄貴・・・もう会話が進まないから無視していいっすか・・・。それで何でカツ丼なんすか?」

ワイ「よく聞いてくれたな、八よ。それはな、どんなトンカツ屋でもカツ丼だけは1,000円以内で食えるからだよ」

八「へへー、なるほど、そう言えばそうですね。確かにどんな高級TUN-KAT店でもお昼のカツ丼だけは1,000円以内ってのが定番ですね」

ワイ「おいおい、トンカツ屋をKAT-TUNの逆!逆!それ逆だから!みたいに言うなよ。って八、そのネタ中々ええやん、貰っていいか?」

八「どうぞお好きに」

ワイ「頂きマンモス!」

八「(溜息)・・・・。んで、そのカツ丼を食いに何処に行くんでSKY?」

ワイ「ばっきゃろー、JAL機内のカップうどん‘うどんde SKY’みたいに言うな。全く、お前さんはしょーもないねぇ、あのな、丸の内・有楽町界隈でカツ丼といえばトンカツ一筋半世紀の老舗‘あけぼの‘しかないだろ!」

八「あー、あの交通会館の。でも、兄貴、ここいらには‘かつ吉’や‘繁’、‘まるや’みたいな名店も沢山あるのに、何で敢えて‘あけぼの’なんだい?」

ワイ「八よ、確かに‘かつ吉’や‘繁’、‘まるや’のトンカツも旨い。好みはあるだろうがトンカツとしてはどこも‘あけぼの’に引けは取らんだろうな。それは間違いない。だがな、カツ丼としてとらまえた時に果たしてどないだ?」

八「カツ丼としてでっか?オイラ学がないから良く分からないけどそんなに違うもんなんなのかい?」

ワイ「八よ、お前さん仮にも東大理三出てるのにトンカツ業界の事は本当に何も知らないねぇ。論より証拠で食べてみようじゃねーか!ほら、行くぞ」

八「ヘイ!」

~あけぼのにて~

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お店「はい、お兄さん達カツ丼お待たせしました~」
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ワイ「おう、ありがとよ。女将!」

ワイ「どうでぃ、八、このカツ丼の美しさは?ま、御託は要らねーからまんず食べてみな。」

八「(がふがふ)あ、兄貴~、旨いよ、確かに旨いよこのカツ丼」

ワイ「だろ?八よ、他の店と何が違うか分かるか?」

八「・・・うーん、兄貴、オイラには旨いしか分からなかったけど・・。何か秘密でも隠されてたのかい?他のカツ丼と比べてって意味だと何か気のせいか食べやすい気がするんだ」

ワイ「お、八よ、お前さん案外鋭いな、そうさ、それが答えだよ」

八「え?どこがだい?食べやすいってとこかい?」

ワイ「そうよ。よく見てみな。カツの一枚辺りの幅が他よりやや薄くて枚数が多いだろ?トンカツはな、勿論分厚いのも食べ応えがあって旨いがカツ丼は究極のバランスを求められる食い物なんだよ。そんでな、カツ丼にはな、2つ外しちゃいけねーCCPってもんがあるんだ」

八「シーシーピー??兄貴、とうとう英語が出てきたぞ。何で食い物の話で英語が出てくるんだい?シーシーピーってなんなのさ?ロマンチックが止まらないのかい?」

ワイ「おいおい、お前さんも随分古いネタ出してくるなぁ。それC-C-Bな。いいか、CCPってのはな、クリティカルコントロールポイントの事さ。つまり重要管理点な」

八「あー、HACCPで工程上の危害要因を管理する為のモニター工程の事ね。でも一般的には食品製造上で使用される単語なのにそれがカツ丼とどう関係あるんだい?」

ワイ「・・・は、八よ。よ、良く知ってるな・・。いやな、まぁ例えよ。大事だって事の例え。まぁ細かい事はいいじゃねぇか」

八「兄貴・・何かそれらしい英単語言いたかっただけじゃないの?ま、いいけど」

ワイ「馬鹿!俺はそんな薄い男じゃないわ。全く、可愛げのないヤツだよ。先輩は無条件に敬えっつーの。ったく。いいな、話を戻すけどCCPの一つ目はカツとご飯、これをどれだけバランス良く口に含めるか、二つ目は最後までカツとご飯のバランスを気にせず食べれるかどうか、いずれもキーワードはバランスなんだよ。分かったか?」

八「バランス・・・。兄貴、たかがカツ丼なのに何だか複雑な話だな」

ワイ「八よ、カツ丼はな、シンプルな食べ物だ。カツを揚げる、切る、玉葱を煮た出汁と卵でとじる、そしてご飯にのっける。それだけよ。それだけで粋に、粋にすーっといこうじゃねーかってなもんよ。」

八「粋に・・・兄貴、ちょっと粋のくだりは意味分かんないよ・・」

ワイ「馬鹿、そこは雰囲気だ。雰囲気。流しとけ。俺が言いたいのはな、カツ丼はシンプルだけにちょっとした工夫が差になるって事よ。いいか。カツ丼のカツってぇのは米とのバランスを考えると一口で頬張るにはちと大きい、だから必ず噛まないといけない。って事はよ、衣の付き方や身の柔らかさ、厚さ、火の通り具合でそこが如何に噛みやすい仕上がりになってるかが鍵って事よ。その点からするとな、‘あけぼの’の衣や厚みは丁度いい塩梅で口の中にキレイなミニカツ丼が再現し易いんだ」

八「口の中のミニカツ丼・・・なるほどなぁ」

ワイ「それからな、ご飯に対するカツの分量が丁度いいのよ。普通はな、カツを食べ過ぎてご飯が足りないとか、保守的にご飯の食べる分量を増やし過ぎてカツが余り気味になるとか最後迄バランス良く食べ切れるかで心臓が痛くなるほどドキドキするだろ?」

八「そんな事気にしてんの・・・兄貴ぐらいじゃなのかい???」

ワイ「(ベシ)」

八「イテッ!兄貴、そりゃパワハラだぜ」

ワイ「いや、あれだよ。和むかと思ってさ。はは。誰かも言ってただろ?脅したんんじゃない。場を和ませようと思ってだけだってさ。はは」

八「ちぇっ、俺は芸人じゃないし。まぁいいよ。それでそのバランスとやらが丁度いいって事なんだね」

ワイ「そう。それよ。でな、何故そのバランスが実現可能なのか?ここのカツ丼のポイントはな、カツ丼の宿命に立ち向かう姿勢にあるのよ」

八「宿命?また大袈裟な・・。一体どんな宿命なんだい?」

ワイ「いいか、ローストンカツの形状は基本横に広がる楕円形だろ?それに対して丼はなんだ?完全な円形だろ?楕円形を完全な円形に重ねたらどうなる?そうだよ。必ず重ならない部分が出来るだろ?それこそがカツ丼が抱える宿命、通称‘丼カツ余白地帯’なのさ」

八「はぁ、まぁそりゃそうだよね」

ワイ「馬鹿!お前本当に鈍いな・・。さっき食べたカツ丼にその余白を感じたか?」

八「あっ・・・・確かに余白地帯は無かった・・・何でだ??」

ワイ「せやろ?ホレ、ワイのFoodieで撮った写真見てみろ。何か気付いたか?」

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八「あ、空白地帯にジャストフィットしてるピースが・・・そしてもう片方の空白地帯にはとじ卵が・・・・」

ワイ「せや、この上下の空白地帯を埋めてる一切れのカツととじ卵、これこそベストバランスで食べ進めれる様に緻密に計算されたあけぼののカツ丼の神髄なんや」

八「(ごくり)な、なんと・・・カツ丼でそんな緻密な計算が・・・。兄貴すげーな、目の付け所がシャープだな。言われてみたら今迄の中で最もバランスが取れたカツ丼だったかも・・・しかしカツ丼のバランスなんと考えた事も無かったよ」

ワイ「なーに、分かればいいってもんよ」

八「でもさ、兄貴。確かにここのカツ丼は旨いけど1,000円以下とはいえ980円はサラリーマンにはキツイ金額だし、頻繁には来れないよ」

ワイ「なぁ、いいか、八よ。あけぼののカツ丼をな、カツ丼を何時でも食べれるぐらいになれよ。それが偉過ぎもしない、貧乏過ぎもしない、ちょうどいいってとこなんだ」

八「・・お、おう、分かったよ、兄貴。まるで美味しんぼのトンカツの回に出てきたトンカツ屋の親父さんの台詞の様だね。そしたら…俺、俺もう少し副業頑張るわ」

ワイ「(ズコッ)副業かい!まぁええわ。女将さん、お会計!」

八「え・・・兄貴・・。」

ワイ「おう、せや、今日はワイのおごりや!」

八「あ、兄貴―!!!・・・・ワイ・・ワイ・・・上カツ丼にすれば良かった・・」

ワイ「アホ!ほんま憎めんやっちゃで!ははは」

八「またよろしくおねしゃーーす!」


~完~

って事で昼に一人で「あけぼの」でカツ丼食ってたら急に小噺的なサムシングを書きたくなったのであります。
会話形式で書き始めたらなげーわ。長過ぎだろ!!

あの子は昔から空想が好きな子でした。(母談)